ペット東洋医学アドバイザー・JADP認定薬膳インストラクターの諸橋直子です。
今回は老犬にありがちな
- 皮膚の乾燥
- 毛のパサつき
- 乾燥によるフケ
これらを薬膳ではどう考える?を解説していきます。
原因その1:乾燥=陰虚証
老犬になると、毛がパサつく、肌が乾燥して、ポロポロとしたフケが出てくるのが気になる…という悩みが出てくる場合があります。
あまりに乾燥がひどい場合は、動物病院で「保湿剤」を処方してもらう方法もあります。
空気が乾燥すると、犬の皮膚の乾燥も加速するので、その場合は加湿器の利用もおすすめです。
薬膳の視点で見ると、陰虚証=体液の不足により体の乾燥が起こると考えます。
これを解消するために「滋陰・補陰」の働きのある食材を取り入れる方法をとります。
滋陰・補陰
「滋陰・補陰」というのは体液の代謝を調節し、体液を補充。全身に栄養を巡らせること。代表的な食材は以下の通りです。
原因その2:栄養不足=血虚証
皮膚の乾燥にもう一つの原因は
「血虚」=血液量、血液の中に含まれる栄養が不足すること
と、薬膳では考えます。
薬膳で考える血液は、現代医学で考えられている血液よりも、担っている役割の範囲がもう少し広いです。
血液は、栄養素を全身に運ぶ役割を担っています。この血液の量そのものが不足しても、血液内に含まれる栄養素の量の不足でも、皮膚に影響が出ると考えます。
皮膚に栄養を与えているのは血液なので、皮膚の健康には、血液が運ぶ栄養が必須、と考えているんですね。
「血虚」というと単純な「貧血」と思われることが多いですが、薬膳で言うところの「血虚」は、いわゆる鉄分の不足から起こる鉄欠乏性貧血を指すわけではありません。
病気や怪我で血液そのものを大量に失う場合、胃腸が不調で食事をうまく栄養として取り込めず、血液に含まれる栄養そのものが少なくなってしまうことをさします。
この場合、「補血」作用のある食物を取り入れるのがおすすめです。
補血の食材
- 黒豆
- 黒ごま
- 牛肉
- 豚肉
- 鶏卵
老犬の乾燥肌は「陰虚」×「血虚」、そしてもう一つ
薬膳で「皮膚の乾燥」の原因は奥が深いです。
水分不足、血液の栄養不足、とまず2つの視点で考えてみる。
そしてもう一つ、欠かせない視点が「脾気虚」です。
「脾気虚」=胃腸が弱って、食物をうまく栄養に変えられない状態
次号の記事ではこの「脾気虚」について解説します。