ペット東洋医学アドバイザー・JADP認定薬膳インストラクターの諸橋直子です。
老犬の薬膳をテーマにお届けします。今回は老化の8つの原因のうち「脾気虚」を取り上げます。
脾気虚(ひききょ)について
脾=消化器のことです。
*脾臓のことではありません。
脾気虚というのは、文字通り消化器の機能低下のこと。
消化器の機能低下なので、食欲が減退し、それが原因で疲れやすくなる、下痢になる、などじわじわ体が弱っていく原因となります。
このじわじわ元気が無くなっていくというのが厄介です。
わかりやすい症状があって病気と診断がつけば、病院で治療を受けられますが、こういう「病気っていほどじゃないけど、健康でもない」というのが曲者。
こういう症状ほど、放置していると徐々に体を弱らせていきます。
脾気虚は老化を加速する
薬膳では「脾気虚」も「腎虚」についで重要な老化を加速させる原因と考えています。
何より、「脾気虚」は老化に限らず、若い犬にとっても体力をじわじわと奪う厄介な症状です。
なので、できれば早めに対応したいところ。
その点、はっきりと発病した状態の「病気」ではない、何となく食欲がなくて体が虚弱…というような状態も、薬膳ではケアすべき対象になるので心強いですね。
脾気虚の対応方法
脾気虚の場合の対応方法は「補脾益気(ほひえっき)」。
消化器の機能低下を改善するような食材を選び、胃腸を元気に、機能改善を図ります。
わかりやすくいうと、胃腸の調子を整えて、ご飯を美味しく食べられるようにしましょう、ということです。
脾気虚におすすめの食材
- 米
- 山芋
- ジャガイモ
- キャベツ
- 紫蘇
- 栗
- 鶏肉
- 牛肉
脾気虚におすすめの調理法
胃腸の機能低下改善ですから、調理法も柔らかく煮込む、スープにするなど胃に優しい方法がおすすめです。
漢方薬も利用される
余談ですが、漢方薬の服用もよく用いられる方法です。こういう場合に用いられるのは
補中益気湯(ほちゅうえっきとう)
です。
犬への漢方薬利用については、漢方薬の取り扱いのある動物病院へ相談してください。犬の体の状況によって他の方剤を勧められる場合もあるので、その場合は動物病院の指示に従ってください。
脾気虚 | 対応方法まとめ
「犬が老犬になって食欲が落ちた」
「歳をとって元気が無く、疲れやすくなった気がする」
そんな場合は「脾気虚」の可能性を考え、胃腸の機能を改善するような犬のお腹に優しい薬膳食材を取りいれてみてください。