ペット東洋医学アドバイザーによる「犬の薬膳」基礎知識の解説。
薬膳は犬の体質、体調、年齢、季節などに合わせてメニューを組むのが基本です。
この記事では薬膳での季節分類「五季」と、季節ごとの薬膳食材、体調管理法について解説します。
薬膳の季節は「五季」
薬膳では季節を一般的な「四季」ではなく「五季」で考えます。
- 春:2〜5月(立春から立夏まで)
- 夏:5〜7月中旬(立夏から大暑まで)
- 長夏:7月中旬〜9月(大暑から白露まで)
- 秋:9〜11月(白露から立冬)
- 冬:11〜2月(立冬から立春)
季節の変動と「五臓」が受ける影響はリンクしていると薬膳では考えます。「五臓」については「五臓の働きを助ける薬膳食材」に詳しく書きました。併せて参考にしてください。
春
春は立春から立夏までの約3ヶ月の期間を指します。
冬の間に低下していた代謝活動が活発になり、肝臓の機能が盛んになります。
薬膳では肝臓の働きが脾(脾は脾臓のことではなく消化機能全般を指す)・胃に影響を与えると考えています。
肝臓の不調はそのまま消化機能に影響を与えるとされています。
春は肝機能をコントロールし、胃腸の調子を正常に保つことを意識する季節です。
春は温性で辛味・甘味の薬効を持つ食材を取り入れる
温性
食物が持つ「体を温める」「痛みを止める」「代謝を上げる」「血液循環を良くする」という薬効を指します。
辛味
「体を温める」「代謝を活発にする」「血行を良くする」「痛みを止める」という食物の効能を指します。
食材例:生姜
「味」という文字のため「食べた味わった際に感じる味のこと」と誤解されがちですが、あくまでも薬効の分類上の記号です。初心者の方はこの点にご注意ください。
甘味
「疲労回復」「虚弱体質の改善」「胃腸の調子を整える」「痛みを和らげる」という薬効を指します。
食材例:
穀類・果物・枸杞子(枸杞の実)
夏
立夏から大暑までの季節を「夏」とします。
薬膳では夏は「心=心臓および循環機能」の活発になると考えます。
体がほてり、暑さがこたえる季節でもあります。
夏は涼性・寒性の薬効を持つ食材を取り入れる
涼性・寒性
食物が持つ「体の熱をとる」「毒素を排泄する」「便通を良くする」薬効を指します。
寒性の方がより作用が強く、涼性は作用が弱いです。
食材例
ハトムギ・大根・きゅうり・セロリ・スイカ・豆腐
長夏
大暑から白露まで、雨による湿度が高まる季節を指します。
湿度の影響で食欲が低下する、消化不良に陥るなど胃腸の不調が目立つ季節です。胃腸の働きを高める食材を選ぶようにします。
長夏は温性・甘味の薬効を持つ食材を取り入れる
胃腸の調子を整える食材を中心にメニューを組みます。芳香性を持つ食材を用いると食欲低下を改善できます。
胃腸の不調は高い湿度によっても引き起こされます。体の余分な水分を排泄する食材も有効です。
食材例:
穀類・肉類・芋類・とうもろこし・大豆・栗・小豆・ハトムギ・紫蘇・冬瓜・大根・菜の花・生姜・みかん
秋
秋は白露から立冬までの期間です。
秋になると気温が下がり、空気が乾燥してきます。肺がこの影響を受けやすく、咳・喘息・喉の痛みなどの体調不良が出やすくなります。
秋は肺を潤し、乾燥から守る食材を取り入れる
肺を乾燥から守り、潤すために体液を調整する働きを持つ食材をメニューに取り入れます。
食材例:
粟(あわ)・レンコン・きゅうり・トマト・白ごま・黒ごま・りんご・梨・牛乳・卵・豆腐
冬
立冬から立春までの期間です。冬は体を養うのに最も適した季節です。「腎」の機能が最も盛んになる季節です。
「腎」は腎臓および腎機能の他に、成長・生殖・生命維持のためのエネルギーを貯蔵する場所とされています。
冬は体に栄養を補い、滋養する食材を
食材例:
米・ハトムギ・山芋・ジャガイモ・にんじん・鶏肉・羊肉・鮭・カツオ
季節に合わせた食材を犬の手作りごはんに取り入れてみよう
犬の手作り薬膳ごはん初心者の方は、まず手作りごはんに季節にあった食材を一品取り入れてみましょう。