ペット東洋医学アドバイザーによる「犬の薬膳」基礎知識の解説。
今回は体の状態を表す「陽虚(ようきょ)」「陽熱(ようねつ)」を取り上げます。
「陽虚」「陽熱」
「陽虚(ようきょ)」は臓腑の機能低下である「気虚」がさらに進行し、体の代謝活動や熱を生み出す力が低下した状態を指します。
「陽熱」はストレスなどによって体に熱がこもった状態を指します。体に熱がこもっている分、相対的に水分が消耗し、潤い不足となります。
陽虚
気虚は胃腸の機能低下により、食事量が少なくなる、食べたものを消化し、栄養として体内で利用することができず、臓器が弱っている状態を指します。
この気虚が進行すると「陽虚」になるとされています。陽虚には以下の症状がみられます。
- 体が冷える
- 体つきが華奢
- 寒い季節に関節や腰が痛そうに見える
- 手足が冷たく、暖かい場所を好む
- 下痢気味
- 水分をあまり欲しがらない
陽虚は「冬」に体調不良が起こりがち
陽虚の犬は、冬に体調を壊しがちです。鳴き声が弱々しい、尿量が少ないなどの症状がみられます。
胃腸虚弱が原因なので、消化の良い食べ物を柔らかく煮る、高カロリーで脂っこい食材を避けるなどがおすすめの食事法です。
おすすめ食材
五性は「温」「熱」、五味は「甘」「辛」のものがおすすめです。
*五味は薬効を表すもので、食べた際に感じる「味そのもの」を表すわけではありません。五性も食物の温度ではなく、薬効を表します。
陽熱
もともと体が丈夫で、ガッチリとして体格も良く、体の代謝反応が盛んなタイプです。その分ストレスを溜め込むと、それが「熱」となって体にこもり影響を与えます。
薬膳ではストレスは「肝」に影響を与えると考えます。「肝」の不調は「脾=胃腸」に影響を与えるため、陽熱を放置すると胃腸炎など消化器系の病気につながります。
陽熱タイプの場合、脂肪分を控えたあっさりとした食事がおすすめです。体の熱を冷まし、ストレスを解消し、気のめぐりを良くすることがポイントとなります。
- 被毛や皮膚がべたつく
- 暑がりで涼しい場所を好む
- 吹き出物が出やすい
- がっちり体型で太り気味である
- 喉の渇きを訴える
- 便秘気味である
陽熱は「ストレス」が体調不良を引き起こす
犬も日常的にストレスを感じて過ごしています。急な環境の変化や苦手な音・人・犬などもストレスになります。
軽い運動やマッサージなど、上手なストレスケアを取り入れることも大切です。
おすすめ食材
五性は「涼」「平」、五味は「苦」「酸」のものがおすすめです。
犬の体の状態を正確に知って、食事をアレンジしよう
薬膳は、犬の体に合わせて作るのが基本中の基本です。そのためには、現在の犬の体の状態を知ることが大切です。
今回紹介した「陽虚」「陽熱」の他に、中医学の生理学に基づいた「気・血・水」の状態から見る体質チェック法もあります。
こちらもぜひ通用して、犬の健康状態を考えてみてください。